シャボン玉のお散歩

アート・読書案内・旅など日々の徒然を綴ります。

『民藝の日本』

横浜高島屋『民藝の日本』、に行ってきました。

「民藝」とは、「民衆的工藝」のこと。柳宗悦の作った造語です。
柳宗悦濱田庄司河井寛次郎らの民藝運動の足跡をたどりつつ、柳宗悦が日本各地で民芸品を収集した日本民藝館所蔵の収蔵品を中心に、「手仕事の日本」を見つめる展覧会です。

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その昔のくらしの中では、当たり前にあった手作りの品々を通して、日々の暮らしの中における美とは何かを考えさせられた時間でした。

人々の暮らしに根付いている民芸品の失われゆく美と価値を柳宗悦らが発見するまでは、誰も顧みませんでした。

美とくらしというのは、本来切り離して考えるべきものではありません。
国宝の火焔型縄文土器も、縄文人の民藝品ではないでしょうか。

21世紀に残されている民芸品も、500年くらい経った頃には国宝に指定されるものもあるかもしれません。(人間社会が続いていればの話ですが)

人々が日々の生活に必要であるがゆえに、自らの手で作り出した「民藝品」には、大量生産・大量消費の近代文明社会とは異なる価値観の世界がそこにはあります。

スマホでピコピコやって、キーボードを叩きカチャカチャやっているこの世界は、ときに異様に見えてくることがあります。

手を動かし、考え、生きる…、これが人間らしい生活なのだろうとひしひしと感じ、地に足の着いたくらしを求めたい強い欲求に突き動かされます。

(と思いながらも、パソコンで文章書いて発表してしまう自分がいるんですけど。)

 横浜高島屋の会期は9月24日まで。

このあと、大阪高島屋と京都高島屋、JR名古屋タカシマヤに巡回します。
www.takashimaya.co.jp

展覧会の図録は会場だけではなく、amazonはじめ一般書店でも発売されています。

 

柳宗悦はたくさんの評論、哲学書を著しています。一読されると民藝という思想への理解が深まると思います。