シャボン玉のお散歩

アート・読書案内・旅など日々の徒然を綴ります。

国立西洋美術館 『アルチンボルド展』

国立西洋美術館アルチンボルド展』に行ってきました。

夏休みということもあって、若干込み合っていましたが、スムーズに見ることができました。

f:id:biobio33:20170827005005j:plain

様々な物や生き物を組み合わせて人物像を描いていた画家として有名ですが、彼の作品をこれだけまとまって展示されるのは、日本で初めてではないでしょうか。

今まで、アルチンボルドの作品を見たことはなかったように思います。(だって、なんだか気持ち悪くて・・・)

だけど、今回は意を決して行ってみました。

実際目にして、その異様な世界に圧倒されます。

《四季(春・夏・秋・冬)》《四大元素(大気・火・大地・水)》が世界各地の収蔵先から集められ、それぞれを対(春ー大気、夏ー火、秋ー大地、冬ー水)にして展示しています。アルチンボルドの技量、卓越した自然描写力に圧倒されます。

ハプスブルクの宮廷画家だった彼は、王を称えるために絵を描いたようですが、本当にこんな異形の絵を描いてて怒られたりしなかったんでしょうか??

だって、どう考えても「諷刺」に思えてなりません。

さて、アルチンボルド以外にも、博物図の展示もあって、なかなか見ごたえがあります。生物図譜が好きなので、ワクワクしてしまいました。

「Ⅳ.自然の奇跡」に、多毛症の一族ゴンザレスさんの絵とか、多毛症の事例として数点の展示があります。

人間の持つ嫌らしさというか、前近代的な見世物的意識のようなものを感じずにはいられませんでした。物珍しい標本としての奇形なのでしょうか。

そう考えると、20世紀以前の博物学とか探検家というものは須らくそういう意識の産物だったのですね。そういう収集物の上に、博物館というものは成立しているという事実。だけど、その収集物の中から、なにか普遍なものを捉えることが21世紀以降に本当に必要なことでは、と思ったりして。まだまだ、人類の精神的発達ってのは、途上にある、と感じたりしました。

 国芳的な「寄せ絵」の面白さとして鑑賞するもよし、アルチンボルドが仕掛けた謎をいろいろな角度から推理してみるのもよし、いろいろな楽しみ方があると思います。

f:id:biobio33:20170827005030j:plain

会期 9月24日(日)まで 

 

arcimboldo2017.jp