シャボン玉のお散歩

アート・読書案内・旅など日々の徒然を綴ります。

オットー・ネーベル展

Bunkamuraザ・ミュージアム『オットー・ネーベル展』に行ってきました。

日本で初めての回顧展で、いままでオットー・ネーベルの存在は知りませんでした。

f:id:biobio33:20171025175210j:plain

オットー・ネーベルは、1892年ベルリン生まれ、カンディンスキーパウル・クレーと親交があり、ナチス統治下、前衛芸術は退廃芸術とみなされ弾圧されて、パウル・クレーとともにスイスに移住した画家です。

展示は、こんなものかなー?と味気なく始まるのですが、見終わる頃には面白く見ごたえがあり、こんな画家がいたものかと満足して美術館をあとにしました。

シャガールと同時代でその影響も受けことから、初期の作品がシャガールの作品と対比展示され、「この路線で行くのかしら?」と思いきや、1931年イタリア旅行を契機に作風が一気に変わりました。

ベルリン生まれスイス移住のオットー・ネーベルがイタリアのまばゆい光に触れたとき、視覚が捉えた色彩や光景に驚かされたことだと、ヨーロッパを旅したことがあるなら、容易に想像がつきます。

イタリアの光の下での色彩に関心をいだいたオットー・ネーベルは、イタリア旅行で訪問した街ごとに、時間ごとに、幾何学的なモチーフ特に四角形をモチーフにして色彩の地図帳《イタリアのカラーアトラス》を制作します。展示会場には、カラーアトラスの現物である美しいスケッチブックがガラスケースに展示されています。またモニターにほぼ全頁が日本語解説とともに紹介されていました。通り過ぎてしまう人が多いのですが、見逃さないで欲しいなーと思ってしまいました。

カラーアトラスをもとに、旅したイタリアの建築物や街並みを幾何学的なモチーフを組み合わせて表現した作品《カモーリⅠ》、《トスカーナの町》、《シエナⅢ》等が展示されていました。

1937年オットー・ネーベルは、フィレンツエに再訪します。シリーズ作品《千の眺めの町 ムサルターヤ》では、幾何学的なモチーフとともに精緻な線と点を幾重にも重ね合わせ、色彩のコントラストを巧みに操った作品やモザイク画の作品もありました。

音楽や易経ルーン文字をモチーフに抽象画も描いています。ここでも、点と線を幾重にも重ね合わせた色彩と形を巧みに操った美しい色の世界に惹きつけれます。

オットー・ネーベルの作品は、几帳面でありながら、ときには陶器のような、ときには幾重にも糸が織り込まれた織物のような、ときにはきれいな音楽を奏でいるような、感じでした。

f:id:biobio33:20171025180143j:plain

会期12月17日まで