21世紀の恵比寿で、「風刺画で描かれた明治」と「写真で撮られた明治」を観る ①
このところの陽気で、頭の中までポカポカの ぐるぐるです。
フランスの祝祭日を知りたく、ググっていたら偶然、フランス大使館のHPに行きつき、恵比寿の日仏会館で「ビゴーの描いた明治―時代を表す風刺と芸術」が、3月21日まで開催されているのを知り、行ってみることにしました。
久しぶりに出かけると、駅のホームに就活の若い子たちがぞろぞろとやってくるではありませんか。だけど、みんな制服でも着ているのかしらと勘違いするほど、カバンも含め上から下までほぼ同じ。5~6人の男の子たちは、まったく同じのバッグもってましたからね。間違って他人のを引っつかんで帰らないでね、と思ったりしました。
さて、本題です。
初めて訪れた日仏会館は、なんとも静かな佇まいです。2階のギャラリーに100点ほどのジョルジュ・ビゴーの作品などが展示されています。
ビゴーは、明治期に日本にいたフランス人画家ですが、雑誌などに掲載された諷刺画で有名です。歴史の教科書にも明治日本の風俗や日清・日露期の極東情勢の諷刺画などが載っているので、ご存じの方も多いと思います。
今回も、雑誌や銅版画集の諷刺画が多数ありましたが、ビゴーの油彩や水彩画も多数出展されています。ぐるぐるは、ビゴーの肉筆作品を見るのは初めてです。
カラーで描かれた明治期の日本を見ていると、明治という時代が「ぐっ」と身近でリアルなものとして迫ってくるのを感じます。当時はカラー写真(着彩写真はありましたが)ありませんから、西洋画法によるカラーの絵画というのは、史料としても面白いですね。五姓田義松の水彩画のスケッチを見た時も同様の興奮を覚えたことを思い出しました。
『東京上二番町の自宅室内』というグワッシュ作品は、完全に毛氈の上に文机が置かれた畳敷きの和室が描かれています。ビゴーは、日本の生活に馴染んでいたんだろうなと思わせます。
彼は、日本の文字の練習をしていたようで、彼の手習いも数点展示されていますし、「美好画」と書いた書("ビゴー画"という意味ですね)にはじまり、作品の中にも「美好」「ビゴー」とサインしたりしています。
ビゴーがフランスにいる母親にサイゴンから送った手紙(1882年)がありましたが、その中に「フランスのシックな女性に比べると、安南や中国の女性は醜いです。衣装はきらびやかですが・・・」というような文章があり、当時の白人のアジア認識が見て取れて面白いです。
ビゴーは、日本と日本人を結構好きだったのかもしれませんが、急速な欧米化を遂げる日本を珍奇なものと思っていたのかも知れませんね。
『吉原、西洋人と遊女』は、ベッドに横になる西洋人の客と傍に腰掛ける半裸の遊女、そして背後に食事を持ってくる日本人男の給仕が描かれています。明治期には、遊郭にもベッドが置かれていたり、給仕される食事も卵立てにいれられたゆで卵など洋食がだされたりしてたんですね。客の白人の男は、エロさ前回のいやらしさが醸し出されています。ビゴーは白人も諷刺の対象にしていていました。
↓ 写真は、作品リストとプレゼントのポストカードです。
会期2018年3月21日まで
日仏会館を出て、東京都写真美術館に向かいます。