シャボン玉のお散歩

アート・読書案内・旅など日々の徒然を綴ります。

横浜美術館で、NUDE展

生まれた時はみんなハダカ!よ、ホイ! ぐるぐるです。

横浜美術館『ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより』に、行ってきました。

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ちょっと刺激的な主題の展覧会に足を運ぶのは、数年前、パリ、オルセー美術館の企画展「masculine」以来。サッカー選手たちが下半身をご披露している写実画に度肝を抜かれたー!他にも男のハダカハダカをモチーフにした作品がたくさん!あまりの衝撃に図録を買うのを忘れてしまったことを、後悔しています。

後日知ることになるのだが、フランスでは消防士さんが肉体美をご披露するカレンダーが発売されているとか。

本題からそれてしまいました・・・。

横浜美術館NUDE展は、英国のテート・モダン、テート・ブリテン、テート・リバプールから、ヌードをテーマに選ばれた絵画、彫刻等作品が展示されています。

ヌード(裸体)がアートの中でどのように取り入れられたのか、18世紀から現代に至るまでの変遷が見て取れます。

ヌードは、ビーナスをはじめ、神話の中でしか描かれなかった時代、というより、そういうことでしか表現が許容されなかった時代、それでも、画家が少しでもエロティック感がある裸体画を描けば批判されるという時代が長く続きました。

今回、目玉のロダン《接吻(Kiss)》も、1953年テートに買われるまでは、「怪しからん」ということで展示の機会にあまり恵まれなかったという経緯があるという。

こちらの作品は撮影可能で、ひと周り見ていると、《接吻》というよりも、「抱擁」って感じがしてならない。男性の女性を抱きしめる腕が美しく、手の指先まで彼の愛が込められている感じがして、いやらしさより、なんとも言えない切なさと愛おしさが伝わってくる。大理石の彫刻なのに男女の抱擁にしなやかさ、艶めかしさも感じてしまう。さすが、ロダンと唸ってしまう。反面、この艶めかしさ感が当時の頭の固い大人たちに怪しからんと言わせてしまったのかもとも。

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このロダンの《接吻》を取り囲むように置かれているガラスケースにデイヴィッド・ホックニーの男性同士の同性愛の漫画チックな版画が展示されている。

この展覧会では、もうひとつびっくりしたことがあった。

あのターナーが、艶めかしい娼婦の姿をスケッチしていたのだ。遺族がターナーのイメージ、おそらく、風景画家としての地位と英国の国宝級である画家としてのイメージを壊したくないという気持ちから、つい最近まで隠していたということらしい。

それだけ、ヌードはある時期までセンシティブな題材だったのだと、痛感する。

ただひとつ残念なことが…。ミレイ《ナイト・エラント》も展示されているのだけど、それを水彩画で模写した下村観山《ナイト・エラント(ミレイの模写)》はコレクション展に展示されていて、ちょっとした泣き別れ感がある。

ま、展覧会のタイトルが“英国テート・コレクションより”だから仕方がないのかもしれないけど。でも、やっぱり、並べて、見てみたかったなー。ということで、スクリーンショットの画像で並べて見ました。

↓左がミレイ、右が下村観山が模写したもの。

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会期 2018年6月24日まで

artexhibition.jp