シャボン玉のお散歩

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【再訪】山種美術館『川端龍子 -超ド級の日本画-』

山種美術館川端龍子  -超ド級日本画に再訪しました。

展示期間始めに訪問した時は人もまばらでしたが、日曜美術館で紹介された影響でしょうか、平日にも関わらず、結構、混んでいて驚きました。テレビの影響は大きいですね。

前期と後期で入れ替えがありましたので、今回は、後期のみ展示の作品を中心に見ました。

『華曲』は、花の王《牡丹》と百獣の王《獅子》を組み合わせた屏風です。右隻の牡丹は可憐で華やかさがあって、花の王として堂々としてますが、左隻の身をくねらせる獅子の姿は鳥獣人物戯画からヒントを得ているらしく、王様というより、どこか愛くるしくおどけている感じがします、

後期展示の目玉はなんといっても『金閣炎上』ではないでしょうか。

1950年7月2日、金閣寺が放火によって焼失するという事件がありました。

川端龍子金閣寺の消失を惜しむと同時に、「金閣の炎上は、これは絵に成る!!」と画家としての心を揺さぶられ、現地を取材し、2か月後には作品を発表したとか。

平安時代の火焔表現(伴大納言絵巻や地獄草紙)に匹敵する迫力のある炎です。少雨蕭蕭と降る静寂の闇の中に燃え上がる金閣は、不謹慎な言い方ですが、まことに美しいのです。想像でしかないですが、燃え上がった金閣からは炎に巻き上げられた燃え剥がれた金箔も炎に照らされた闇夜に舞っていたのではないでしょうか。

闇夜に赤々と燃え盛る炎が金閣寺を覆いつくさまは、見事です。金箔を火の粉に用いてより自然な火の粉としている表現が火事場の臨場感を伝えています。

私は、小学校の時の図工室の壁に貼られていた「金閣炎上」(おそらく朝日新聞日曜版の図版)を見たときの衝撃は忘れられません。

これが龍子の手になるものと知るのは随分後になってですが、今回本作と対面して、その大きさと美しさには息を飲みました。

展示最後に写真撮影可の作品がありました。前期は『真珠』でしたが、展示入れ替えとなり、『八ッ橋』を写真撮影することができます。尾形光琳に傾倒していた大正初期の作品で、尾形光琳の『燕子花図屏風』を彷彿とさせます。光琳と異なるところは、光琳が青い燕子花を反復してリズミカルに置いたのに対し、龍子は青い花だけではなく、白い花も配し、花の向きにも変化をつけながら、リズミカルに表現しています。全くの模倣でないところが龍子の個性が出ています。

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