シャボン玉のお散歩

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日本橋高島屋『池田学展 The Penー凝縮の宇宙-』

日本橋高島屋で開かれている『池田学展 The Penー凝縮の宇宙-』に行ってきました。

初日午後、結構混み合っていました。

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1㎜以下のペン先で1日に描けるのが10cm四方という、大きいもので完成までに3年はかかるらしいです。

とっても精密、精緻な絵画で、大きな絵も細部まで見入ってしまい、見終える頃には目がチカチカしてしまいましたが、それだけ、見ごたえのあるものでした。

会場に入ってすぐに、「まさしく、これはブロッコリーではないか、ぶなしめじではないか」とその線の緻密さと影の描き方に引き寄せられてしまい、そのリアルさに驚いてしまいました。今後、料理をするときにまじまじと観察してしまいそうです。

そして藝大の卒業制作《けもの隠れ》は、モノトーンの作品で岩肌にはキツネ、タヌキ、サル、パンダの他に、そしてトンボやムササビ、鳥も飛んでいる様子まで描かれていました。また、竜をはじめ空想上の動物や骸骨までいました。

目を凝らして見ないと見落としてしまいそうなオブジェが宝物のように、おもちゃのように散りばめらている絵がこのあとずっと続きます。

タイ旅行を通して制作された作品《ブッダ》には、胴上げをしている人たち、物を運ぶ人たちなど人々の営みが随所に描かれています。

日本を取り上げた作品《興亡史》には、城や櫓が複雑に組み合わされた中で戦闘を繰り返す戦士たちとともに、走る電車があったり、桜の花が咲き乱れたりと四季折々の様子も織り込まれた盛りだくさんで、隅々まで見切るのに大変です。緻密に描写された巨大な建造物を、あの「バベルの塔」の作者にも見せてあげたい!ブリューゲルはなんていったでしょうか。

2008年の作品《予兆》は、あの東日本大震災を予言したのか、それとも神からのお告げでもあったのかと思わされました。建物、乗り物、地上にあるありとあらゆるものが波に飲まれてしまうさまにはっとさせられてしまいます。自然の前では、人間が作りし物は何もかにもが打ち砕かれてしまうのか、それほどまでに小さな存在なのかと感じずに入られません。

大きな作品だけではなく、小作品も面白いものがいっぱいでした。

《はなかまきり》、《くさかまきり》などは、アルチンボルド風。

《降り積む》は、「わー素敵な雪の絵」と近くに寄って見に行くと、雪の一粒一粒が、なんと骸骨、骸骨、骸骨・・・

会場最後に、撮影可能の作品《誕生》が展示されていました。モニターでは制作過程の映像が流れていました。

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池田学氏へのインタビュー映像が会場後半にあります。作品に対する思いなどについてお話されているので、先にこちらの映像を見てから展示作品を見るのも楽しいかもしれません。

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会期10月9日(月)まで。

 

【おまけ】

撮影可能作品の前で、車いすでいらした方の視線をさえぎったり、不快に思わせてしまうような動きでスマホで写真を撮っている方がいらして一悶着ありました。写真を撮りたい方の気持ちもわかりますが、頭の上でシャッター音が切られるのはどんな人でも気分のいいものではありません。やはりマナーには気を付けられたほうがよいのでは思います。自分も改めて考えさせられました。