東京ステーションギャラリー『シャガール 三次元の世界』に、最終日に見に行きました。
これまでも何度かシャガールの展覧会を見てきたことと、ふわっとした柔らかな感じの絵のシャガールが彫刻???などと思ったこともあり、なかなか足が向かず、最終日となってしまいました。
結論から言って、これは行ってよかったです!先入観(偏見)を持って物事をみていたことを反省しました。
ほとんどの展示作品が個人蔵でしたので、この先、またいつ見られるかわかりません。見に行ってよかったです。
絵画、版画は、シャガールらしい作品でいっぱいでした。
初めて目にしたシャガールの彫刻は、ロダンのような力強い写実的な彫像でもなければ、ジャコメッティのように抽象化された本質を抉り出すような彫像でもありません。いわば、シャガールの絵画世界が立体表現されているものでした。
石の特徴を活かしたレリーフのような表現や、シャガールの絵に出てくる、あの独特の身体をくねらせたポーズが立体的に表現されたりと、なかなか面白い。絵画と彫刻を対にした展示では、二次元造形と三次元造形とを見比べてみると色んな発見があるかもしれません。
シャガールの聖書解釈が立体化されている作品も多くあります。
彼は、聖書の物語を数多く図像化しており、フランス国立マルク・シャガール聖書のメッセージ美術館では、シャガールの聖書世界を堪能することができます。ただ、ここでも、聖書世界の立体作品はなかったので、今回初めて鑑賞することができました。
シャガールが立体造形に込めた、聖なるものへの志向性が、抽象的でありながらも、絵画よりもグッと迫ってくるように感じられました。
お越しになっている方は、どういうわけか、絵画ばかりに目を向けられて、彫刻は素通りに近い方々が多くて・・・。シャガールの彫刻は、なかなか見る機会がないと思いますので、余計なお世話かもしれませんが、「いろいろな角度から、もっとよく見て楽しんで!」と内心叫んでしまいました。
図録の表紙が、絵画作品《誕生日》をモチーフとした彫刻をエンボス加工となったもので、中身もちょっとした工夫がなされている頁もあって、素敵です♪
東京では、終わってしまいましたが、この後、名古屋と青森に巡回するようです。