シャボン玉のお散歩

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うるしの彩りー漆黒と金銀が織りなす美の世界

子供のころから、お屠蘇は朱漆塗りの盃だった ぐるぐるです。

泉屋博古館分館の内覧会に行ってきました。

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今回は、「うるしの彩りー漆黒と金銀が織りなす美の世界」と題して、住友コレクションの漆工芸品が展示されます。

住友家の養嗣子、住友春翠のコレクションとのこと。この方、徳大寺家から住友家に養子入った方のようで、能楽にも熱心だったようです。なので、それらの楽器(もちろん漆工芸品)も展示されています。

ギャラリートークは、森下愛子氏(泉屋博古館分館学芸員)と外山潔氏(泉屋博古館学芸員)でした。

能楽関係の漆器香道の道具類や宴の漆器、中国・琉球漆器、そして明治の漆工芸品といったテーマです。

ギャラリートークの途中で、6月2日のギャラリートークの講師である、室瀬智弥氏(目白漆芸文化財研究所 代表取締役)も特別参加。f:id:biobio33:20180603141019j:plain

「蜻蛉枝垂桜蒔絵香箱(とんぼしだれざくらまきえこうばこ)」について、詳細な解説をしてくださいました。(因みに、ケースの背後の男性が、泉屋博古館分館長の野地耕一郎氏です)

確かによくできた高台寺蒔絵の作品で、平蒔絵にアワビの螺鈿を用いた名品ですね。江戸初期には大名たちからの数多くの受注に応えるために作業効率のよい平蒔絵が用いられたというお話も。

 

他にも香道の古今道具類が展示されています。気品と格調の高さが感じられます。

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中華の皇帝の愛した漆工芸品も展示されています。中国では、彫漆という、厚く盛った漆に彫刻するものが主流なのだとか。色も朱漆などで、厄除招福を願っているんでしょうね。写真右の盆には、皇帝の象徴である龍が彫られているのですが、その指は4本なのです。皇帝の龍は本来5本指なのですが、民間に流出したときに、皇帝の持ち物で無くなったからと1本削り取られたらしいです。

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中国で制作された数多くの漆器類も、当の中国に残っていないものが多く、日本にしかないものが多いそうです。理由は、中国では日常品として漆器が消耗されていたのに対し、日本では、中国漆器は、唐物、舶来品として宝物として大事にされたからだそうです。

 

日本の伝統の中で、生活の中で、大切に使われてきた漆工芸品の文化の深さに触れられるひとときが過ごせることと思います。

 

※当ブログ掲載の写真は、美術館より特別に撮影の許可を頂いております。

 

www.sen-oku.or.jp