近代日本画の隠れた名手たち
泉屋博古館分館「狩野芳崖と四天王」展の内覧会に行ってきました。
ずいぶんと涼しくなりましたね。
今回の内覧会は、館長の野地耕一郎氏のご配慮で、プレス内覧会より前に実施していただけたとのことです。
ギャラリートークは、野地先生です。
展覧会では、狩野芳崖とその4人の弟子、岡倉秋水・高屋肖哲・岡不崩・本多天城の作品、さらに同時代の朦朧体の四天王(大観・観山・春草・孤月)の作品も観ることができます。
徳川様の時代が終わって、苦境に立たされた狩野派の絵師たちですが、フェノロサという日本美術の発見者によって、その実力を発揮していきます。(フェノロサと芳崖の出会いは明治15年頃)
従来の狩野派(というより、伝統的な日本の絵画の描き方がそうだったのですが)の線による表現が、西洋絵画との出会いにより、どのように変化し、新たな領域に踏み込んで行ったのか、その試行錯誤と冒険の成果がよくわかります。
西洋の遠近法的表現、水平線・地平線による画面構成、西洋顔料の使用、写生(人物・動植物・風景など)の絵画への応用など、新たな地平を切り拓いていったのだなあ、と。
芳崖の『伏龍羅漢図』(中央)の眠りこけている龍の顔は、牛が反芻しているしているときの顔を基に描かれたそうです。
芳崖の四天王たちの作品を一堂に会して観ることができるのはなかなか無い機会と思います。ぐるぐるも、近代日本画の展覧会でぽつぽつと見た記憶があるばかり。
今回、彼らの確かな技量を間近に見ることができて眼福でした。
前期・後期で展示替えがあるので、また足を運ぼうと思います。
なお、後期には、芳崖の『悲母観音』(重文)も展示されます。
高屋肖哲の『悲母観音図 模写』が通期で展示されていますが、凄まじいくらいの細かい鉛筆での書き込みがあります。芳崖の作品を臨模したようで、ものすごい研究の跡がうかがえます。
※当ブログの写真は、美術館より特別に撮影の許可を頂いております。
★おまけ★
横浜美術館で開催中の「モネ それからの100年」で泉屋博古館分館所蔵のモネ作品(『サン=シメオン農場の道』(7/14~8/17)『モンソー公園』(8/18~9/24))が出品されてて驚きました。泉屋さんは東洋美術系の美術館と思ってたので、まさかモネがあるとは思ってませんでした…。
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