生まれて初めて千葉駅に降り立ち、千葉市美術館『ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信展』に行ってきました。
駅から少し離れたところにあるので、c-bus(100円 循環バス)を利用しました。1日乗車券(200円)を買うと、美術館の入場料も割引されるとか。
平日の午前中でしたが、日曜美術館で特集されたこともあり、混雑していました。
浮世絵の美人画はみんな同じに見えて、どうも???だったのですが、鈴木春信の美人画は美人というより、可憐なのです。そして、何より、着物や帯の柄が素敵で、色合いも美し過ぎます。どこか、幸せを運んでくるような、ちょっと微笑んで見たくなるような空気感があります。また、絵の中の演出も小粋な感じです。
たとえば、《見立玉虫 屋島の合戦》と《見立与一 屋島の合戦》は平家物語で有名な一場面の見立て絵で、屋形船に可憐な娘が、「射れるものなら、射ってごらんなさい。」と挑発する笑みを浮かべ、扇を広げたポーズをとり、岸では強そうに見えないイケメンが矢を射ようとする。その矢には、恋文らしきものが。同じ合戦でも、こちらは恋の合戦で、イケメンの彼は、屋形船の彼女のハートも射止めることができたのかなーと想像を掻き立てられてしまう。
(写真↓は会場内の撮影可能パネル)
《流れのほとりで菊を摘む女(見立菊慈童)》には、色の美しさに驚かされます。特に背景の紅色の空がとっても美しく、若い娘の着物の色を見事に引き立て、若い娘の可憐さ、その存在感を一層高めています。
《鷺娘》では、凹版のきめ出しによって鷺娘の綿帽子や雪に立体感を出し、振袖は凸版による空摺で菱文様を表現して、雪の白、綿帽子の白、白無垢の白を巧みに操っているところが味わい深いです。
同じように、《雪の門前の男女(見立鉢木)》でも雪をきめ出しで表現し、垣根に降り積もっている雪の質感がよく伝わってきます。
春信が活躍したのは、明和年間。田沼意次が執政し、平賀源内たちが活躍した時代。そんな活気ある時代の庶民の生活が生き生きと描かれているのも春信の特徴といえます。江戸の庶民の生活に想いを馳せるのも大変楽しいです。
図録も春信に合わせて、おしゃれな作り。表紙の英字タイトルは凸状に加工が施され、中開きはなんと春信カラーです。美しい画集として、そして色彩の詳細な解説がボストン美術館によりなされているページもあるなど、楽しめる内容です。
千葉市美術館の会期2017年10月23日まで 終了
その後、名古屋ボストン美術館、あべのハルカス美術館に巡回。