横浜大好き ぐるぐるです。
横浜美術館『石内 都 肌理と写真』展に行ってきました。
展示会場は、幼い頃、目にした横浜の風景から始まり、懐かしさを感じました。写真の中の山口百恵のポスターが、こんな風な部屋にしていたお兄さんとかいたなーと昔懐かしく、時代を感じさせます。
廃墟になってしまったのか、老朽化のためか、アパートメントの壁や天井の剝れは、いまではそこには存在しない過去の人々の営みがあったことを感じさせ、ひそひそ声が聞こえてくるような来ないような時空を超えた空間を行ったり来たりの空気感を醸し出しています。
(そういえば、マスター・キートン(平賀・キートン・太一)のお父さん、若い頃こんな感じのアパートに住んでたな・・・)
モノクロの世界は、現実のようで現実ではないような、写されていない何かがそこにはあるのではないかと、不思議な声が聞こえて、いろいろなことを想像してしまいます。
『絹』のコーナーは、撮影可能でした。
美しい絹織物は、誰が好み、着ていたのだろうか。繭の写真と動画は、ここから糸が紡がれ、織物になっていく様を静かにそして美しく映し出していました。
女性の傷痕はその傷痕と共に生きていくという覚悟を感じさせる。また、石内さんの母の遺品である下着や口紅、広島の被爆者の方々の遺品であるワンピースやシャツ、メガネ、時計などからは、その人が生きてきた痕跡を永遠に留め、時の流れが一瞬止まったかのような感覚に襲われる。シャツに縫いつけられた名札が鮮明に残されているさまは、どうか生きていてほしいとさえ、願ってしまう。
石内都さんの写真は単なる記録ではなく、被写体が声を発し、何かを訴えているような感じがしました。
一旦、ここで石内都さんの写真展は 終わり。
展示会場は、コレクション展「全部みせます!シュールな作品 シュルレアリスムの美術と写真」 へと続きます。ここは、写真撮影可能エリアでした。
いつもは素通りすることが多かったのですが、このあとに続く写真展示室に石内都さんのデビュー個展「絶唱、横須賀ストーリー」のヴィンテージプリント55点が展示されてるのを見るために、コレクション展の会場にも入ってみました。
さらっと、通り過ぎようかと思ったのですが、結構、見応えがあり、長居してしまいました。写真展より、コレクション展の方が人が多くいるのではないかと感じました。
マン・レイの写真は、写実絵画のような雰囲気がある写真があったかと思えば、ファッション雑誌のようなポート・レートがあったりと多様でしたが、物・者の内面に潜む美しさに迫っていて、写真集が欲しくなってしまいました。
ポール・デルヴォーの作品は、一見、ファションイラストのような綺麗なものですが、どこか気怠さが漂っていて、不思議感があります。
空の色が青く、過ごしやすい季節のように見えるのに、空気はどこか冷たく、非現実的な空間に身を投じられ、不安を掻き立てられます。
コレクション展の会場を出ると、写真展示室があって、こちらで再度、石内都さんの「絶唱、横須賀ストーリー」展。コレクション展の前に、『石内 都 肌理と写真』展の余韻がある間に見たかったなーと、ちょっと残念でした。
会期2018年3月4日まで