尊敬する武士は?と聞かれて、
「中村主水!」と答えるのが常の ぐるぐる です。
さて、今回は東京都江戸東京博物館で開催中の
「士 サムライ -天下太平を支えた人びと」展 特別内覧会に行ってきました。
今回のテーマは、ずばり「サムライ」。
武士は、平安時代中期の在地領主から始まり、数々の闘争を経て日本の支配者になっていったわけですが、今回この展覧会で扱うのは、主として江戸時代の武士です。(江戸東京博物館にふさわしいです)
江戸時代、二本差し(大刀、脇差)で苗字を名乗ることが許された身分が武士です。
彼らの為政者としての側面、武人としての側面、文化人としての側面、そして人間としての日常生活をも垣間見ることができる展示となっています。
こちらの絵巻(後期展示は複製)は、参勤交代のお供で江戸に来てしまったサムライたちの生活情景のいろいろを描いたもの。
単身赴任の無聊を慰め、結構ぐだぐだしています。家族と離れて男どもばかりの生活じゃ、そりゃつまらないでしょうね・・・。武士の魂の刀も無造作に放りっぱなし。(こんな状態じゃ、誰かに盗まれたりするな・・・)
幕府からの命令で国元に帰る予定が延ばされたため、酒を呑んで暴れて憂さを晴らしたりしています。
彼らも、我々と同じ人間なのだと、感じさせられます。
こちらは、遠山の金さん由来の品々。
金さんは、痔疾で騎馬での登城が困難なため、駕籠による登城を願い出、登城時の駕籠使用は五か月を期限とする旨の誓約書を提出しているのですが、この起請文は、牛王法印紙に書かれています。もう明治維新がすぐそこにまで迫っている時代に、鎌倉期以来の伝統が江戸期にも生きていたのですね。
武士には、痔が多かったと言いますし、やはり役人として正座で仕事することが多いことが原因なのでしょうか。
幕末のコーナーには、「幕末の三舟」と呼ばれる、勝海舟・山岡鉄舟・高橋泥舟の遺品や由来の品々が多く展示されています。
さて、貧しかった若き日の勝海舟が、オランダ語辞書「ヅーフハルマ」全58巻を書写し、蘭学に励んだというエピソードがあります。この時、海舟は二部書写本を作り、一部は自身の勉学用、もう一部は売って生活費を工面したといいます。
今回の展示には、この海舟の手になる「ヅーフスルマ」の写本の一部が展示されています。丁寧な字でびっしりと書き写された写本は感動的です。彼の強靭な精神力と、向学心の高さには、驚かざるをえません。ぐるぐるも、いつまでも志だけは高く持ち続けたいと改めて思いなおしました。
初めて見ることができて、うれしい限りです!
さて、明治維新により、武士身分はなくなり、二本差しも裃も着用しなくなった人々は、西洋文明に追いつけとばかり、↓ みたいな格好をして生きていくことになります。
大礼服。洋装にサーベルです。
だけど、この後、軍人は、サーベルには日本刀を用い、やたら武士道の精神論が強調され、日本は破滅的な道を歩んでいくのだなと思うと、複雑な気持ちになりした。
本当の武士の姿(暮らしや考え方)を知ることが、本当の「武士道」を知ることだと思います。
※当記事中の写真は、主催者より特別に撮影の許可を頂いております。
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