泉屋博古館『典雅と奇想―明末清初の中国名画展』ブロガー内覧会に行ってきました。
静嘉堂文庫『あこがれの明清絵画~日本が愛した中国絵画の名品たち~』とコラボしていることもあり、今回も東京大学の板倉聖哲先生のギャラリートークがありました。板倉先生のお話は、簡潔で、わかりやすく、言葉も明解で聞き取りやすいところに好感が持てます。
明の末期から清のはじめ(日本では室町末期から江戸時代はじめ)にかけての中国絵画が50数点ほどが展示され、展示数は少ないですが、見所満載でした。
エリアが二つに分かれていて、最初の部屋での見所は、入ってすぐに展示されている徐渭《花卉雑画巻》の2点です。
ひとつは東京国立博物館所蔵。徐渭は妻を殺害し6年の獄中生活を経て、保釈後、55歳のときの作品です。もうひとつは泉屋博古館所蔵。晩年71歳の作品です。この2作品が並ぶことはめったになく、筆遣いの違いや墨の濃淡を比較しながら見ることができます。
米万鐘、張瑞図,董其昌 の作品が並びます。
水墨画は絹に描くのが正式なのですが、紙や絖本、金箋であったりするので、絵を正面から見るだけではなく、角度を変えてみることでその光の具合や質感も捉えてみるのもお勧めらしいです。
次の部屋のみどころは、石濤《黄山八勝図冊》、《黄山八勝図冊》、《黄山図巻》です。これら3点が並ぶのも滅多にないことだそうです。3点とも黄山を描いているのですが、写生というわけではなく、石濤が脳裏に焼き付けた思い出を再現し、景色を再構成して描いたそうです。
そして、もうひとつ見逃せないのは、チラシにも載っている八大山人《安晩帖》です。こちらは、数日ごとにページを替えて展示するそうで、訪問日によって展示されているページが異なります。今回は、特別に《第九図 猫児図》を見ることができました。
静嘉堂文庫の沈南蘋《老圃秋容図》の猫が写実的なら、八大山人のふわふわとた猫は、ちょっと漫画チックでかわいらしい猫ちゃんです。でも、一見すると仔犬にも見えてしまいます。シールがあったら、買ってしまうかも。
中国絵画はリアルを追求するもので、このようなキャラ化や擬人化のようなことは得意ではないそうですが、このような試みがなされたのもこの時代のようです。
八大山人は、余白を利用して、わざと「あれ?」と思わせる演出を入れるそうです。《書画合壁巻》も、そんな演出がなされています。二羽の小鳥と余白を配してその奥に山林、二つは関係があるようでないような・・・。
参考までに、チラシ掲載の《第七図 魚図》は11/9(木)から11(土)まで、《第九図 猫児図》は11/18(土)から20日(月)までです。どうしてもこれが見たいということであれば、念のため、美術館にご確認ください。
他の作品でも、日によって、巻子は巻き替え、画帖はページ替えあるようです。
そんなこともあり、きっと再訪します!!
お仕事疲れの会社員の方々も、都内の喧騒からちょっと離れて文人の世界に身をおかれててみてはいかがでしょう。
会期 2017年11月3日から12月10日(日)まで
※展示の写真は、美術館より特別に写真撮影の許可をいただいております。
両展のチラシを並べると、静嘉堂文庫の”猫”が泉屋博古館の”魚”を狙っている図柄になるそうです。
再訪しました。