「パリ♥グラフィック ― ロートレックとアートになった版画・ポスター」展 に行ってきました。
行ってみて、気づいたのですが、12月5日(火)〜10日(日)の期間は「思いやりウィーク」というイベントみたいです。
これは、障がい者手帳を持つ方と介護人1名が無料になる、ということです。
なるほど、いい試みである。・・・が、少し考えたい。
この美術館では、このわずかな期間を設定して、障碍者の人たちにとって心地よい観覧の場を提供したり、その他の観客の観覧マナーの向上を訴えたいということのようだ。
思いやりウィークのリーフレットからの抜粋によると、このような「思いやり」の例示がなされている。
しかし、このようなことは、人として至極当たり前のことではないかと思う。
こんなことは、ことさら訴えるまでもなく、常日頃から社会に生きる人(社会人)は考えていなければならないことだ。社会人としてのマナーを弁えて行動することで、お互いに心地よい関係性や環境は醸成されていくのではないかと、などとも思ってしまう。
このイベントの開催により、改めて、私は日本人の人としての質の低さに気づかされることとなった。このような人として初歩的なマナーでさえままならないということを、この注意喚起はいみじくも教えてくれている。
もっぱら英仏等の欧米での経験だが、海外の美術館では、皆、このくらいのことは自然と行っている。障碍者のみならず、杖をついている人、老人などを見かけた場合、自然な声かけや彼らの動線を遮らないように配慮したりしている。
美術館や博物館だけではない。街を歩いている人々も身体に不自由のある人たちに対して、適切な振る舞いをしているように感じられる。
翻って、日本はどうだろうか。
美術館の中で、他の観客を遮るように絵の前で立ちふさがり、他人が来てもお構いなし。しかも、絵の前でスマホしたり、忙しいことだ。
電車の優先席で席を譲らないのは序の口だ。
杖をついて雪道を歩いている足の不自由な女性に、「杖ついてるんだから早く歩けよ」という心無い言葉を投げつけたり、歩道を歩いている老人の横を猛スピードで自転車で駆け抜けて行ったり。
これは、実際に目撃したものばかりです、念のため。
日本人は礼儀正しくてとか言って、外国人は誉めそやしてくれますが、ありがたいことだと思います。でも、日本人はそんなに素晴らしい人たちではありません。人に見られていなければ平気で悪いことをやる人たちです。・・・あ、見られててもマナー悪いんだった。
日本人は褒められるといい気になって、努力しなくなりますから、外国人のみなさん、あまり褒めすぎないでください。
ただし、あまりけなされ過ぎると、拗ねて、ナントカ事変とか起こしちゃったりするので、必要以上にけなさないで下さいね。よろしくおねがいします。
なお、思いやりウィーク期間以外は、障がい者手帳をお持ちの方と、介護人の方1名は、通常料金の半額で観覧できるようです。
今回は、展覧会本編と関係ないことをながながと書いてしまいました。
展覧会の方はというと、ロートレックのポスターが当時のパリの街中にあるように感じられるような趣向で展示されてたりしますが、やはり、版画の展示が特徴的です。
版画がブルジョアたちに愛好され、芸術になっていく過程が感じられます。リトグラフに用いられた石版の本物も展示されていました。
展示会場途中に撮影可能なところがありました。
↑ ちなみに、三菱一号館美術館所蔵のロートレックポスターは、当時実際に街中で掲示されて使用されたものではなく、作者ロートレック手持ちのポスターらしいです。だから損傷も少なく、良質良品だそうです。
ファン・ゴッホ美術館との共催ということから、最後の部屋にゴッホの愛した浮世絵の展示もありました。