清朝皇帝のガラス、鼻煙壺の小宇宙が広がる
ガラスのように繊細な ぐるぐるです。ぷっ。
サントリー美術館『ガレも愛したー清朝皇帝のガラス』に、行ってきました。
泉屋博古館分館で木島櫻谷の四季連作屏風に圧倒された後、もう一本、展覧会に。
ということで、徒歩でサントリー美術館に向かいました。歩いて、15分から20分くらいでした。でも、グーグル経路案内にまた騙されてしまい、ちょっとロスがありましたけどね。
美術館や博物館に行くと、いつも新たな知識を得ます。
今回はというと…
ガラスの病気「クリズリング」です。
クリズリングは、成分バランスが崩れたことが原因で引き起こされます。アルカリ成分が多い素地やアルカリに対してカリウムの比率があまりにも低いガラスの場合、空気中の水分が器胎に付着し、アルカリ成分が汲み出され、表面に繊細な空洞を作られ、次第にガラスの透明性や輝きは薄れ、最後は自己崩壊してしまうということです。
なんとも、繊細で儚い…
そんなわけで、清朝康熙・雍正時代のガラスとされる器は、多く遺されていないということです。
ガレといえば、アール・ヌーボー期のガラス工芸を代表する一人で、ジャポニスムと絡ませられて紹介されることが多いですが、この展覧会では、ジャポニスムだけではなく、清朝時代のガラス工芸からも大きな影響を受けたことを、展示作品を通して垣間見ることができます。
ガレの色被せガラスの使い方には清朝ガラスの影響が色濃く出ているように見受けられました。そして、香水瓶は鼻煙壺がヨーロピアンスタイルに変容したようにも見えます。
香水瓶、鼻煙壺、どちらも手に取って見れたら、どんなに幸せかと、鼻煙壺の小宇宙に目が釘付けになってしまいました。
でも、ここは撮影できるところなので、カメラのお邪魔にならない程度に、お互い譲り合わないとね^_^
こちらも撮影コーナー。
マットな質感のガラスはモダンな感じ、ブルーは青磁をガラスで表現したかのようです。撮影コーナー以外にも、このようなマットな質感のシンプルな器や装飾を施した器が展示されています。その色彩は豊かで、モダンな感じです。
ガラスというとその儚さや透明感、装飾や切り子のような細工につい目が向いてしまいますが、乾隆帝の時代、不透明なガラスや色被せのガラス、そして磁器や陶器を思わせるような重厚感を持たせ、新たなガラスの世界を追求していたのかもしれませんね。
清朝皇帝のガラスは、乾隆帝の時代に最盛期を迎え、アヘン戦争以後は復興することはなかったなんて、ちょっと寂しいですね。